:::

陽明山区域における「箭筍」採取禁止期間、2010年12月31日まで延長

陽明山はその昔「草山」と呼ばれ、ほかでは目にすることのできない草原が広がっていたことがその名の由来とされています。皆さんがよくご存知の擎天崗草原が代表的な風景です。なかでも、比較的丈の高いのが矢竹とススキ。矢竹というのは小型の竹のこと。幹は細目で硬さもちょうどよく、矢の材料として使われていたことからそう呼ばれます。皮がむけて筍になるまで全く落ちないために「包籜」矢竹ともいいます。矢竹は地中に生える茎から営養を吸収します。新しく生えた芽こそ「箭筍」なのです。 「箭筍」はやわらかく繊維を豊富に含んでいることから、胃腸の働きを活発にし、新陳代謝を高める効果があるといわれています。そのため、ここに暮らす人々は国家公園に指定される前から生活の糧として長期にわたりこの箭筍を採っていました。山腹に暮らす農家ではわざわざ栽培するところもあるほどでした。国家公園として指定を受けてからは、現地の農民の生活を支えるべく、「陽明山国家公園敷地内での箭竹筍採取に関する作業要綱」が制定されました。国家公園内に農地を保有する農民に限り、一般管理区域という条件付きで採取を許可し、期間については、毎年2月15日~4月30日と8月1日~10月15日の年2回に定められたのです。  どうしたことか、1999年から2000年にかけて、「箭竹」は花をつけました。それは百年に1度あるかないかというめずらしいことでした。その状況は数カ月間続き、最終的には実をつけましたが、それに起因してか大量の「箭竹」が次々と枯れてしまいました。新しく生えてきた芽は違う種類のものでした。これを受け、管理処では2000年から専門家を招いて研究に着手。開花前後の様子を丹念に調べてみたところ、新芽が生えていた範囲は以前より狭まり、そのほかの地域はススキに占領されていたことがわかりました。箭竹が比較的寒くじめじめした場所を好むのに対し、ススキは炎熱の環境を好むことから、地球温暖化が進む中で、果たしてこの2つの植物が相互にどのような作用をもたらしたのかに注目が集まりました。そこで、管理処では2007年から翌2008年にかけて、国家公園内における箭竹とススキの相互関係についての調査を専門家に依頼。調査期間中、国家公園全域で「箭筍」採取を全面的に禁止し、箭竹の復活を図る努力が始まりました。 2009年1月22日、再び専門家と保育関連団体の関係者を集め、現地視察を実施したところ、地中にある箭竹の茎はあまり生長しておらず、株の量も不ぞろいで、箭竹とススキがお互いに競合し合っていることが分かりました。もし採取を禁止していなかったら、恐らくススキに浸入されて箭竹は育たなかったに違いありません。箭竹を育てるためには、採取解禁は時期尚早といえるでしょう。採取禁止措置は今後も継続。2010年12月31日まで延長する方針が固まっています。その後、解禁に踏み切るかどうかは調査の結果を待つことになりそうです。なお、採取全面禁止期間中、ヤミ採取を防止するため、陽明山国家公園内に駐在する警察隊と管理処調査員による見回りが強化されます。国家公園における生態系の変化を食い止めるためにも、皆様のご理解とご協力をお願いします。